どうも、医療系です。
日焼けが気になる季節ですね。
美容に興味がある方は、全力で紫外線を避けていることと思います。
今回は、日焼けの仕組み・日焼け止めの成分・日焼け止めの適正使用について、日本皮膚科学会のサイトを参考に解説します。
1.紫外線は100%悪ではないけれど・・・
功 | 罪 |
---|---|
●ビタミンD生合成
●光線治療 |
▲急性傷害 サンバーン、サンタン ▲免疫抑制 ▲慢性傷害 ▲光線過敏症 |
紫外線は100%悪というわけではありません。良い面としてはビタミンDの生合成があります。
一時に大量の紫外線を浴びれば日焼け(サンバーン)を起こしてしまいます。また、少量でも長年にわたって浴び続ければ慢性障害として光老化が起こります。これは色素斑(シミ)、しわ、皮膚の良性・悪性の腫瘍として歳をとってから現れてきます。
日焼けやシミは、メラニン色素の沈着により、皮膚が黒くなる現象ですが、これは本来は、メラニン色素が紫外線を吸収し、細胞をDNA障害から守ってくれる防御機構なので悪いことではないです。(メラニン色素が作られにくい白人の方は、日本人よりも皮膚がんになりやすいですし)でも、気になるのが乙女心ですよね。
紫外線が免疫抑制作用を示す??
この光免疫抑制は皮膚ガンの発生にも大きく関わっています。紫外線は細胞内のDNAの構造を変化させることが知られています。DNAの構造の変化により、細胞ががん化することがあります。ガン細胞が発生したとき、通常であれば、免疫細胞の標的になり、貪食され、増えないように制御されています。しかし紫外線照射により、免疫抑制が起こり、がん細胞の増殖に免疫反応が負けてしまい、皮膚がんの進行に繋がります。
その一方で、紫外線のの免疫抑制効果を皮膚科ではうまく利用して自己免疫疾患である乾癬やアトピ-性皮膚炎などの治りにくい皮膚病の治療に使用されています。
2.UVAとUVB
UVBは波長280-320nm、UVAは320-400nmです。波長が短いほどエネルギーが高く、UVBはDNAに直接作用します。UVAはUVBよりも皮膚の深くに入りこみ、生体内の様々な分子に吸収され、その結果生じる活性酸素を介して細胞の膜脂質や蛋白質、DNAなどに酸化的損傷を与えます。
3.日焼け止めの成分は?
主要成分として紫外線吸収剤と、散乱剤があり、これらが単独あるいは組み合わせて用いられています。吸収剤はUVB領域の紫外線をよく吸収しますが、UVAを効果的に吸収する成分は限られているのが現状です。散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛が主体で、UVBからUVA領域まで広く遮断します。
吸収材は人によって、かゆみが出たりするので、そういう方は、散乱剤のみのものを買ったほうがいいです。ただし、紫外線をブロックする能力が高いのは吸収剤入りのものです。
4.SPFとPAの違い
SPFはUVBの防止効果の指標です。UVB照射により翌日生じる赤みを指標にして検定します。普通、夏の海岸で20分間日光に当たると、翌日赤みが出ますが、例えばSPF30の製品を規定量つけた場合、20×30=600分=10時間、日光に当たって、始めて翌日赤みが出るということになります。
PAはUVAの防止効果の指標です。紫外線照射直後からメラニンの酸化で起こる即時型黒化という反応を指標として検定します。+から+++の3段階があります。PA+:UVA防止効果がある、PA++:UVA防止効果がかなりある、PA+++:UVA防止効果が非常にある、という意味です。
5.日焼け止め、正しく使ってる?
日本皮膚科学会の見解によると、我々が普通に塗っている日焼け止めの量は、適正量の2/3だそうです。これでは、日焼け止めの効果が半分程度になってしまいます。
規定量は、顔は真珠の玉2個分位です。また3時間に1回くらい塗り替えるほうが確実です。意外と忘れやすいうなじや、耳たぶ、胸、首、手の甲にもきちんと日焼け止めを塗りましょう。
一応各場面での日焼け止め使用の目安を示しておきますが、防御効果が高いものは成分が濃く、皮膚が弱い方には赤みやかぶれを引き起こす可能性があるため、自分の肌に合ったものをこまめに塗りなおす、あるいは、日焼け止め以外の方法と組み合わせるなど工夫してください。
条 件 | 防御対象波長 | 防御効果 | 備 考 | |
---|---|---|---|---|
SPF | PA | |||
日常生活 | UVB UVA |
5 | + | 光老化予防 |
軽い屋外活動、ドライブなど | 10 | ++ | サンバーン、光老化予防 | |
晴天下のスポーツ、海水浴など | 20 | +++ | サンバーン、光老化予防。耐水性のあるもの | |
熱帯地方での屋外活動 | 30以上 | +++ |
6.もし、日焼けをしてしまったら
日焼けの応急処置で最も大切なのは、冷やすことと保湿することです。←火傷と同じです。
タオルを冷水で濡らして冷やす。 (低温火傷を引き起こすため、氷や保冷剤を直接当てるのはNG)
保湿については、刺激の少ないローション(できれば、消炎効果のある日焼けのアフターケア用ローション)をたっぷり塗る。
化粧水・美容液などは日焼けが落ち着いた頃(2~3日後)からつける。(刺激性があり、炎症を悪化させる可能性があるため)
また、日焼けが落ち着くまでは日焼けの部分は、石鹸などで洗わないようにしましょう。(痛いよー)
水膨れになった場合、感染のリスクがあるため、医療機関を受診することをお勧めします。
※日焼けのアフターケア用商品例
7.おまけ 日サロはどうなの?
皮膚科学会の見解では、日焼けは皮膚の細胞に少なからずダメージを与えるものなので、日サロはお勧めしていないようです。
実際に下のリンクのようにひどい皮膚症状が出た例がありますし、やるなら自己責任ですね。