どうも、理系です。
パワハラでうつ病、若い世代の新型うつ。
うつ病は、医者が金儲けのために作った病気だとか、鬱は甘えと言っている人が結構要るっぽいので、俺なりに、うつ病が立派な病気であることを示すデータでも紹介しようと思う。
そもそも病気とは?
健康な状態とは何か。病気とはどのような状態か。
まるで哲学ですけれど、WHO曰く
健康とは単に病気や虚弱の無い状態ではなく、肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態である。
だそうです。
かなりふわっとしてますよね。
じゃあ、皆さんが自分が病気あるいは周りの人が病気であることをどのように判断するかを考えてみましょう。
恐らく一番多いのが、熱があるかないか、外見に明らかな差がある場合、病気と判断するのではないでしょうか。
高血圧なら140/90 mmHg以上、尿中グルコースが陽性なら糖尿病、心電図が乱れたら不整脈。
病気によってはこのように非常に分かりやすい基準が設けられていて、その基準が分かりやすいのは誰にとっても同じであるからです(140 mmHgの圧力は人によって変わったりしないでしょ)。
うつ病が甘えという人が出てくる理由
自分が加害者であるというレッテルを貼られるのが許せないから、自己防衛的にそう言っているとかいう感情的な論は放棄する。
うつ病と高血圧の大きな違いが、基準が人の間で揺らぐか揺らがないかです。
140 mmHgは万人共通ですが、うつの症状やきっかけなんて人により、差が大きいです。
診断の時は、症状をなるべく客観視できるようにスコア化しますが、他人がそのスコアだけで、その人の症状を完全再現なんて絶対にできない。うつ病発症のハードルの高さは千差万別だから。
後は、健康でも、気分が落ち込むことがあるから、健康な状態とうつ病の状態の間に明確な境界線を引くのが難しいってのもあるかもしれない。
健忘(忘れっぽいこと)とアルツハイマーの境界線を引くのが難しいのと同じ。
で、このあいまいさのせいで、治療法の確立が困難になっている。
じゃあ、うつ病でいわゆる健康な状態から大きく離れた状態になっていることを示せば、うつは甘えなんて言わないんじゃね。と思ったので、過去の知見をいろいろと紹介する。
ストレス(ノルアドレナリン)感受性がこんだけ違う
このPET画像は、ストレス下で放出されるストレスホルモン(ノルアドレナリン)の受容体の分布を調べたものになる。
黄色い円で囲まれているように、脳の各部位の中継地点である視床で、ストレスホルモンの受容体が多く発現している。
これをさらに細かく解析すると、認知・記憶・判断に関連する前頭葉とつながりのある神経細胞において、ストレスホルモンの受容体が29%増加していた。
ストレスの情報をキャッチするアンテナが健康な人の1.3倍ということ、そして認知・記憶・判断に関連する脳部位とのつながりがバグってると考えると、異常であることがよく分かると思います。
https://www.amed.go.jp/news/release_20160916-02.html
検査値で見るうつ病
感情が脳内のタンパク質で決まるという話は、文系の人にとっては受け入れがたいものなのかもしれないけれど、快感はドパミン、幸せはセロトニン、鎮静はGABA、愛情はオキシトシンというのは結構有名な話なんです。
コチラの図では、うつ病の各症状に相関を示す物質を挙げたもので、線が太ければ太いほど相関が強いです。また、赤色が正の相関、青が負の相関を示します。
うつ病患者の血中代謝物の寄与度ランキングを見ると、共通項がいくつも見つかる。
終わりに
高血圧や糖尿病ほどに明確な基準は作れないかもしれないけれど、このような知見が増えていくと、うつ病の診断基準がより明確になるのではと。
ファッション鬱とか、本当のあまえったれを振るい落とせるんなら、「うつ病は甘え」偏見が緩和されるんじゃない?と個人的に思ったり