どうも、理系です。
これの続編です。
完全に自分の興味で、使用後のマスクを再利用するのって、微生物学的にどうなのかという点と、マスクの内側にどれだけ微生物がいるかが知りたかったため、文献を検索したところ、なかなかショッキングな結果だったので報告する。
区域 | Mean ± SD of bacterial contamination (cfu/ml/piece) | |
---|---|---|
Inside mask | Outside mask | |
男性内科病棟 (n=40) 女性内科病棟 (n=40) 救急病棟 (n=40) 手術室(n=50) ICU (n=30) 外来病棟(n=30) |
76 ± 93 38 ± 20 31 ± 16 40 ± 53 40 ± 27 48 ± 71 |
221 ± 250 249 ± 253 115 ± 161 110 ± 171 152 ± 159 156 ± 94 |
Total (n=230) | 47 ± 56* | 166 ± 199 * |
* Statistically significant difference by paired t-test, p<0.001
Remarks: 最も多く検出されたのが、内側ではブドウ球菌 (34%)緑膿菌 (34%)、ブドウ球菌(40%) 緑膿菌(37%)。
Table 2
区域 | Mean ± SD of fungal contamination (cfu/ml/piece) | |
---|---|---|
Inside mask | Outside mask | |
男性内科病棟 (n=40) 女性内科病棟 (n=40) 救急病棟 (n=40) 手術室(n=50) ICU (n=30) 外来病棟(n=30) |
18 ± 13 13 ± 5 18 ± 7 13 ± 5 16 ± 13 12 ± 4 |
33 ± 20 38 ± 15 18 ± 8 32 ± 15 21 ± 7 44 ± 27 |
Total (n=230) | 15 ± 8 * | 33 ± 18 * |
* Statistically significant difference by paired t-test, p<0.001
Remarks: 最も多く検出されたのは、内側ではアスペルギルス (37%) と アオカビ類 spp. (31%)、外側ではアスペルギルス (43%) とアオカビ類(25%).
Microbial Contamination on Used Surgical Masks among Hospital Personnel and Microbial Air Quality in their Working Wards: A Hospital in Bangkok
恐らく、この時点で、マスクをすることを気持ち悪く感じる人が出てくると思う。
そして、誤解してほしくないことが1点ある。
マスクの外側に多く微生物が検出されるのは、マスク表面に吸着加工を施していて、浮遊している飛沫や飛沫核をくっつけて、それらがマスクの穴を通り、口側に通り抜けないようにしているという効果も影響する可能性がある。
つまり、マスク着用者を守るための機能により、マスクの外側の微生物検出量が増えてしまっている可能性がある。
また、内側については、口腔内の常在菌だったり、皮膚の常在菌がマスクと触れ合うことで汚染されているのではないかと考えられる。
以下、耳慣れない微生物の解説
ブドウ球菌とは
ブドウ球菌はグラム陽性好気性細菌で、ものによっては病原性がある。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は最も病原性が強く,典型的には皮膚感染症を引き起こすほか,ときに肺炎,心内膜炎,骨髄炎を引き起こすこともある。
一般的には膿瘍形成につながる。
一部の菌株は,胃腸炎,熱傷様皮膚症候群,および毒素性ショック症候群を引き起こす毒素を産生する。
緑膿菌とは
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)とこの群のグラム陰性桿菌に属する他の菌種は日和見病原体であり,しばしば院内感染を引き起こす(特に人工呼吸器使用患者,熱傷患者,および慢性衰弱患者において)。
多くの部位に感染が起こり,通常は重症である。
アスペルギルスとは
環境中に遍在するカビの一種であるAspergillus属真菌の胞子を吸入することで日和見感染を起こし,吸入された胞子は血管内に侵入して出血性壊死や梗塞を引き起こす。喘息,肺炎,副鼻腔炎,または急速進行性の全身疾患の症状を呈する可能性がある。
また、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は,Aspergillus属(一般にA. fumigatus)に対する過敏反応であり,ほとんどは喘息患者に限定的に,またはまれに嚢胞性線維症の患者にみられる。
アスペルギルス(Aspergillus)抗原に対する免疫応答が気道閉塞を引き起こし,治療しなければ気管支拡張症および肺線維症を引き起こす。
マスク外したくなってきた??
使用後のマスクを使いまわすということは、病原性微生物を含む微生物まみれのものを口の近くに持ってきていることになる。
俺はおススメしない。
特に免疫力が弱い人はね。
また、マスクメーカーにおいても、再利用を想定したディスポマスク製造はしていないとのこと。
じゃあ、セルフで洗浄・消毒すればええやんと頑張っている人がいるが、洗浄後再利用時の微生物捕集効果についてのデータは得られていない。
物によっては、水に触れることにより、表面加工がダメージを受けてしまい、捕集効果が下がるのではないかと予想されている。
実際に、公式(経産省)のHPでは、感染予防にマスクは推奨していないし、布用の再利用可能なマスクの再利用は勧めているがディスポタイプのものの再利用は勧めていない。
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html
マスクは正しく使わないと、感染源になりうる。これを理解していただきたい。
また、マスクを洗うという行為は、病原体を含む飛沫を生んでしまう可能性が高いため、マスクの機能云々を述べるまでもなく今回の新型コロナウイルス感染症についてはおススメできない。←洗っている人がどうマスクを洗っているのかが分からないので何とも言えない部分があるけれど。