理系だもの

コミュ障理系会社員兼バレエダンサーの日記。健康食品のガチすぎるレビューから、ニュースについての自分なりの意見を書いたりしています。ためになる記事も多分ある。理系だもの。好きなこと:バレエ・ダンス鑑賞・音楽を聴くこと(推しは奏音69さん)、嫌いなこと・人:フェミニスト・媚びること・ストレッチ

誰も読まないだろうけど、現時点での新型コロナ治療候補薬の一部を作用機序と共に紹介する

どうも、理系です。

 

新型コロナウイルスの知見は日々増えていき、治療に役立つのではないかという治療候補薬がいくつか見つかっている。

 

ここでは、

A Review of SARS-CoV-2 and the Ongoing Clinical Trials.

というレビューを参照して、最新の臨床試験状況と、治療候補薬の作用機序について解説する。

 

※海外の論文なので、日本では認可されていない薬の名前が出てくることがあります。

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この複雑な図は、COVID-19が細胞に入り込み、増殖し、細胞外に出ていく機構を示している。

 

ウイルスは細胞に寄生しなければ増えることができないため、この図の中のどれか1つの段階を止めてしまえば、ウイルスは増えることができず、ウイルスは死ぬ。

 

また、ウイルスに感染した宿主細胞を殺すことによっても、ウイルスの増殖を抑えることができる。

 

今回は、この二つの機構に絞って、現時点で臨床試験が行われているあるいは行われる予定の薬を紹介しようと思う。

 

上の図の赤枠に囲まれた黒字の単語は、COVID-19の治療候補薬であり、それぞれどの段階を遮断するかを示している。

 

1.RNAポリメラーゼ阻害薬

レムデシビル

RNAポリメラーゼ阻害薬。RNAウイルスが増えるためには、自分の遺伝情報とタンパク質を複製する必要がある。RNAポリメラーゼが阻害されると、タンパク質合成の設計図が作られなくなるだけでなく、自己の遺伝情報の複製も阻害されるため、ウイルスは増えることができなくなる。

 

既に既知のコロナウイルスで抗ウイルス作用を示すことが知られていたが、最近のin vitro試験で、レムデシビルはCOVID-19増殖を阻害することが示された。
米国で最初のCOVID-19患者の症例報告で報告されたように、レムデシビルは入院7日目に使用され、顕著な副作用を示すことなく患者の症状は8日目に改善された。

レムデシビルは現在、2020年4月/ 5月に完了する予定の中国での第III相試験を始めとする、さまざまな国で臨床試験が実施されている。

 

ファビピラビル(アビガン)

インフルエンザの治療薬として承認されている。

作用機序はレムデシビルとほとんど同じRNAポリメラーゼ阻害作用。

レムデシビルと異なり、ファビピラビルがCOVID-19の治療効果を示す前臨床データは確立されていない。

 

2020年3月に、臨床試験で副作用が最小限の有効性が実証されたため、ファビピラビルは中国で最初の抗COVID-19薬として中国国家医療機器局によって承認された。

 

2.プロテアーゼ阻害薬

イベルメクチン

イベルメクチンは、FDA承認の抗寄生虫剤であり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とデング熱ウイルスの両方に対して抗ウイルス活性を発揮することも証明されている。
ウイルスタンパク質の輸送を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑える。

 

細胞レベルでの研究により、COVID-19による感染から48時間後にウイルスのRNAを最大5,000分の1に減らすことができることが証明された。

抗寄生虫薬の使用に関する安全性プロファイルが確立されているため、COVID-19の治療におけるイベルメクチンの有効な投与量の設定が急務である。

 

ロピナビル リトナビル

ウイルスタンパク前駆体に作用する酵素の働きを阻害することにより、ウイルスタンパク質の複製を阻害する。

 

SARSとMERSで行われた多くの臨床、動物、およびin vitroモデル研究にてロピナビル/リトナビルのコロナウイルスへの有効性は証明された。

しかし、ロピナビル/リトナビルの併用は、軽度および中程度のCOVID-19の患者及び、重症患者を対象とした臨床試験に置いて有効性は示されなかった。

 

3.ウイルスの細胞への侵入を阻害する

rchACE2 

可溶性組換えヒトアンジオテンシン変換酵素2(rhACE2)は、COVID-19が細胞に侵入するときに重要なSタンパク質が細胞のACE2と相互作用しないようにブロックする。

これにより、ウイルスは細胞に侵入できなくなるので、増えなくなる。

 

実際、最近の研究では、rhACE2が細胞および胚性幹細胞由来のオルガノイドにおけるCOVID-19複製を1,000〜5,000倍阻害する可能性があることが報告されている。

 

現在では、COVID-19によるARDS併発に対して、臨床試験が進行中。

 

ヒドロキシクロロキン

ウイルスと宿主細胞間の膜融合に必要なエンドソームのpHを上昇させることにより、ウイルスの細胞への侵入をブロックする。

さらに、COVID-19の細胞への侵入に重要な細胞受容体であるACE2の構造変化を妨害することにより、SARS-CoVの複製を特異的に阻害することが示されている。

 

最近、in vitro試験により、COVID-19のウイルス複製数を効果的に低減することが明らかになり、臨床試験においても、ヒドロキシクロロキンがCOVID-19関連肺炎の治療に有効であることが示された。

 

アルビドール

ロシアと中国によって承認されたアルビドールは、インフルエンザウイルスおよびアルボウイルスに対する侵入阻害剤である。

インフルエンザウイルスの表面にある主要な糖タンパク質であるヘマグルチニン(HA)を標的とするアルビドールは、ウイルス膜と細胞の脂質膜の融合を防ぐことで、ウイルスの細胞内への侵入を防ぐ。

 

現在、単剤での試験が行われており、アルビドールとファビピラビルを比較することを目的としたランダム化臨床試験では、後者が治療結果においてはるかに優れていることが実証されている。

 

4.自然免疫の強化

NK細胞の活性化剤

SARS-CoVにおいて、NK細胞およびマクロファージの肺への移動がウイルスの消失に重要な役割を果たしていることが示されている。

まだ、この機序でCOVID-19に効果があるかどうかは示されていない。

 

遺伝子組み換え型インターフェロン

ウイルス感染の起きている細胞で放出されるたんぱく質を模倣したもの。

このタンパクが感染の目印になり、免疫細胞の標的になる。

 

単独あるいは、他の薬剤と組み合わせて使用​​すると、HCV、呼吸器合胞体ウイルス、SARS-CoVおよびMERS-CoVに対して広く抗ウイルス効果を発揮する。

現在、COVID-19肺炎の治療における安全性と有効性の解明がすすめられている。

 

その他

他の作用機序でも新型コロナウイルスに効果があるのではないかと言われている治療薬は複数ある。

(例えば抗炎症薬、COVID-19抗体薬など)

 

興味がある方は、リンク先の論文から詳細な情報を得て欲しい。

 

https://www.mdpi.com/1422-0067/21/7/2657/htm