皆様は、温度センサーみたいなのが付いたストレスチェックのできる定規をご存知だろうか?
このような定規は、指を温度センサーに当てて、センサー部分の色の変化により、ストレスの負荷度合いを見るというものである。
ここで、何故体温とストレスが関与するのかという疑問が生じる。
漫画等でイライラしている人の描写に湯気や火が使われたり、ブチ切れている人には「熱くなるなよ」と声がかけられる。
そのような描写が見られるということを踏まえれば、イライラと温度というのには何かしらの繋がりがあると直感的に感じる部分があるのではないだろうか。
ストレスは脳の交感神経系に作用してさまざまな変化を生じさせる。
体温・血圧・脈拍上昇という変化は、漫画でのイライラ時の描写(湯気・火・血管が切れる等)からなんとなくしっくりくるのではないだろうか。
体温の上昇は、ストレスによる顕著な生理反応の1つである。
ストレスが強いと心因性発熱と呼ばれる高体温症状を引き起こすこともある。しかも、厄介なことに、この発熱にはロキソニン等のNSAIDsに分類される解熱鎮痛薬は効かない。
では、何故ストレスで体温上昇が見られるのか、本題に移っていく。
ストレスが負荷されると、脳内でストレスホルモンが分泌される。
このストレスホルモンが交感神経を興奮させて、熱産生を行う褐色脂肪細胞というものを活性化させる。
この心因性発熱にNSAIDsが効かない理由は単純である。NSAIDsは感染による炎症を抑えることにより、炎症を起点とした交感神経の興奮による発熱を抑える。
そのため、炎症も何も起きていない心因性発熱では、NSAIDsのターゲットが存在しないため、飲んでも効かないというわけである。
温度センサーみたいなのが付いている定規でイライラを測れる原理を述べてみた。
これだと、もともと体温高い人、低い人でも結果が分かれそうですね。
あくまでおもちゃに毛が生えたようなもんと思って、悩んでいるなら、適切な所にご相談される事を強くおすすめいたします。
ストレス性体温上昇の神経機序
—感染性発熱との比較から—
中村 和弘
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/60/3/60_203/_article/-char/ja/