どうも、理系です。
今回は、英王立公衆衛生協会のSNSに関する調査結果を紹介する。
本調査では、14歳から24歳までの若者1500人弱を対象に、SNSがメンタルヘルスに与える影響を追跡したものである。具体的には、心の支え、身体へのイメージ、いじめなど、健康と幸福感を左右するいくつかの要素に、SNSが及ぼす影響を調査した。
かなり長いレポートなのでかいつまんで解説していく
原文
https://www.rsph.org.uk/static/uploaded/d125b27c-0b62-41c5-a2c0155a8887cd01.pdf
SNSが潜在的にもつメンタルヘルスに影響しうる事象(ネガティブな影響)
・不安および抑うつ感情
SNSを利用することにより、常に「自分の投稿(文章や写真)が他人にどう思われているか」が気になる。
1日2時間以上をSNSに費やすことは、精神的健康状態が悪くなること(精神的な苦悩と自殺的企図の増加)そして自己評価の低下に関連があった。
・睡眠
SNSに返信することに時間を浪費し、やるべきことや、友人・家族とのかかわりを持つ時間が減り、睡眠時間が減る。
・自分の外見へのコンプレックス
SNSに投稿された写真は加工されており、被写体が完璧に見えるように写っている。このことがかえって利用者の自分の外見への不満を際立たせてしまう。
女性の90%が自分の外見にコンプレックスを感じている。
若い女性の中で、SNSの写真のために美容外科を受診する人が増えている。
・SNSによるいじめ
若者の70%がSNSによるいじめを経験しており、そのうち37%がそれをありふれたことだと認識している。そして、このいじめに対抗する策がない。
・孤独感への恐れ
SNSが閲覧できないことがストレスとなり、常にモバイルバッテリーを持ち歩く。
SNSから離れることで自分は孤独になると思い込み、やらねばならない他のことに手を付けられない。
SNSが潜在的にもつメンタルヘルスに影響しうる事象(ポジティブな影響)
・専門家の見解や他の人の経験を簡単に参照することができる
・精神的なサポートやコミュニティの形成ができる
70%の若者は、難題に挑戦するときに、SNSのコミュニティーから精神的サポートを得ている。
・自己表現の場になる
・人間関係の形成・維持の場になる
特に若者にとってはSNSでつながることが、親密さを増す行為である。
結果発表
では、皆さんお待ちかね(多分皆さんここにしか興味ないと思うが)の最もメンタルヘルスに悪い結果となった主要SNSを発表する。
Instagramが最もメンタルヘルスに悪影響であり、YouTubeが最もメンタルヘルスに良いという結果になった。
これは海外の調査であるため、必ずしも日本でも同じとは言い切れないが、写真がメインの投稿になるSNSはメンタルヘルスに悪いという傾向が見えるような気がする。
それでは各論に移る
ユーチューブ
ポジティブな効果(右に伸びる棒グラフ)が大きくみられるのに対し、ネガティブな効果(左に伸びる棒グラフ)はSleep(睡眠)以外目立つ大きさのものがない。
YouTubeと比べて個人的な人間関係の悪影響(いじめや外見のコンプレックス)が大きくなっている。
Twitterと比べ、外見のコンプレックスとFoMO(仲間外れへの恐怖)が大きい。
Snapchat
Facebookと似た傾向がみられる。
他のSNSと比べてぶっちぎりで外見へのコンプレックスの値が大きい。
なんとなくわかる気がするが・・・
意外な結果だったかもしれないし、なんとなく予想できた結果かもしれない。ただ、これを見て、インスタグラムが悪いとかSNSが悪いと非難するのは、思考停止が過ぎる考え方である。
SNSの悪影響の多くは使用者に起因する悪影響(使用時間の管理ができていない。思い込みなど)である。
そのため、SNSそのもの(ネットワークを介した他人)を変えるよりも、自分が変わる(疲れているときはSNSを見ない)こと、客観的になることというのが大事ではないかという浅い考察で今回は締めようと思う。