どうも、理系です。
今回は妄想をテーマにした論文紹介である。
皆さんは妄想をするだろうか
「もしも大金持ちになったら」から「あの芸能人と自分が結婚したら」とか「もしも自分が特殊能力に目覚めたら」など、とりとめのないことを考えることって、案外よくあることだと思う。
妄想だけでは飽き足らず、学生時代につまらぬ授業中に後に黒歴史と呼ばれる小説を書いていたことがある人達は、おそらくこのような妄想をすることを恥ずべきことと考える傾向があると思う。
何故かというと、その妄想の内容に対する恥じらいはもちろん、本来やるべきことから意識の対象をずらしていることになるからである。
集中すべきことに対して集中できず、他のことを考えてしまうというのは、しばしば「落ち着きのない」というマイナスの評価を受けてしまうからである。
妄想は本当に悪か?
そんな妄想家の方たちに朗報である。
2017年にNeuropsychologia誌にて発表された
Functional connectivity within and between intrinsic brain networks correlates with trait mind wandering.
http://control.gatech.edu/wp-content/uploads/2017/09/Godwin-et-al-Functional-Connectivity.pdf
という論文では、夢想家の人とそうでない人の脳の活動をfMRIを用いて計測し、知能テストを用いて、夢想家であることと、頭の良さの関係を調べている。
覚醒時と休息時に夢想家の人の脳の活動を測定したところ、「注意」および「行動制御」に関する脳内ネットワークの活動が普通の人よりも活発であり、両領域の神経活動のつながりも強いことが明らかになった。
夢想家の人は、知能テスト・創造性のテストにおいて、そうでない人よりも、良い成績であった。
妄想する人は効率の良い頭の使い方ができる
以上のことから、とりとめのない妄想をする人は決して「注意散漫」なのではなく、効率の良い頭脳の持ち主で、周囲よりも速く物事を理解するため、余った時間でいろいろ考える。この色々考えるというのが妄想なのである。
だから、妄想をしてしまう自分に後ろめたさを感じる必要はない。むしろ、脳みその効率がいいくらいに思って自分に自信を持っていただきたい。
もちろん、妄想するだけで頭が良くなるとは限らない。本来頭を使うべきことを済ませたうえで妄想にふける余裕があるのは頭がいい証であるが、本来頭を使うべきことに対するモチベーションが皆無では、頭がいいとは言えないということには注意が必要である。